その時。 「あー、片岡いたー!」 女子の声がした。 見ると、渡り廊下の先の体育館から走り出てきたバスケ部のマネージャーだった。 「まだ着替えてないのー? 先輩、怒ってるよー!」 片岡君は、ばつの悪そうな表情でそちらを向いた。 「わりー、すぐ行くからうまく言っといて!」 その返事を聞くと、マネはしかたないなあ、という感じに声のトーンを落とした。