おととし卒業した先輩が研究していたというそのハムスターは、今では誰にも関心をもたれていない。 しかし、放っておくわけにもいかず、生物部で面倒をみている。 私は水とえさをやると、実験している航君にそっと声をかけた。 「じゃあ、私、先に帰るね」 「ああ、おつかれ」 私は生物室を出た。 扉を閉めて渡り廊下へ向かおうとした私は、ギョッとして足を止めた。