大翔君の部屋から聞こえる話。
怖いほどに、俺と美海の歩んだ道と似ている。


「じゃ…」


ドアの奥から聞こえる声は、今までに聞いたことの無いような低い声だった。


ーコンコン


「はい」
「入るぞ?」
「はい」


ドアを開けると眼鏡をかけて仕事をする大翔君の姿。


「どうかなさいました?」
「久しぶりに二人で外食とかしない?」
「…良いですよ」


笑顔で俺に歩み寄る大翔君は俺が見ている男達の中でも美男に入るであろう。
笑顔、声、全てに置き吸い込まれそうになる。


「なぁ…」
「はい」
「美桜と…寄り戻さねぇの?」
「…断りました」