─大翔side─


「は?」
『だから…ちょっと相手にしてあげて。』
「時間無いから。」
『ほら、猫ちゃん…もしもし?って言ってみ?』


日本とは約10時間も違うニューヨークは17時少し前。
パソコンをしながら連翔と電話中。


『…もしもし?…ほらね?猫ちゃんでしょ?』
「…美桜…」


電話口で連翔じゃない声がした。
それは、間違える事がない声。
美桜のものだ。


『正解!!はい、ゆっくり話せよ』
「あ…おい!」
『じゃ、猫ちゃんに変わるね?はい…。もしもし…』「…もしもし…」


俺が声を発した後、電話口から声がしなくなった。
その代わりに聞こえてきたのは美桜の鳴き声だった。