猫になって君にキスをして


――バリっ。



やっと一噛みできた。

が、

砕かれた破片は床に落ちた。


(ううう……仕方無い)


この床がデカイ皿だと思えばなんてことない。

問題はその皿の上に自分も爺さんも乗っているってことだが気にするなオレ。


落ちたせんべいの破片を口に含む。


バリバリバリ……


ん。なかなかイケル。


せんべい一枚を食いきるのに5分以上かかった。

堅焼きとはいえ、茶菓子にこんなに手こずるとは。


しかし猫の腹は安上がりでいい。

すっかり満腹だ。


「美味いか?」


……スローだ。

すでに食い終わっている。


「猫には固いかもしれんけどな」


笑えるくらいスローだ。