「おい、紗希、何言ってんだよ。分かったよ、行こう、水族館。今起きるからさ」 「別れる」 「また冗談なんだろ。ちょっと待ってろ。今準備するから……」 紗希はケンカをするたびにいつも「別れる」と言う。 まあ、前はそんな事は無かったのだが、 ここ最近その言葉を聞くことが多くなっているのは確かだ。 それでも別れることなくこうしているわけだから、 紗希の「別れる」の言葉など本気で考える必要はない。 それでも、後が面倒だ。 ご機嫌取りに精を出さなきゃならない。