「新郎、貴方は内田栞を妻としていかなる時も愛する事を誓いますか?」

神父の声に自分の世界から引き戻された。

「誓います」

「新婦、貴方は目黒修を夫としていかなる時も愛する事を誓いますか?」

「誓います」

教会内に響きわたる栞の声。

「誓いの口づけを」

いよいよだ。

栞と向き合う。

ゆっくりと純白のベールをめくり、頬を桃色に染めた栞を見つめる。

ゆっくり顔を近づける。

始めてのキスをする時以上に胸が高鳴っているのがわかる。

栞が目を瞑り、僕も目を瞑る。

二人の唇が重なる。

二人の愛の誓い。

栞はそう思っているだろう。

この場で誓う事はそれしか有り得ないのだから。

勿論、僕も愛を誓ったが、もう一つ場違いな誓いを立てた。

それは、栞を10人目の僕の作品としてコレクションに加えること。

栞は一筋の涙を流した。

僕はそれを拭ってあげる。

そしてもう一度、どちらからともなく唇を重ねた。

互いの愛を確かめるように。