二週間前に買った三種類の熱帯魚たちは、僕の水槽の暮らしに慣れたのか毎日楽しそうに泳ぎ回っている。

今日は栞が体調不良で仕事を休んでいた。

本当は仕事が終わってから見舞いに行きたいのだが、栞は母親と暮らしているので、顔すら見ることが出来ない。

あとで電話でもしよう。

今日は真っ直ぐ家に帰り、僕の作品たちを眺めながらビールでも飲もう。

小山るうを僕の作品にしてからお祝いをしていない。

だから今日の予定はこれで決まり。

そろそろ帰るか・・・。

そう思って背後にある扉へ体を向けると、大きな音を立てて扉が開いた。

「ちょっと!!ビッグニュース!!」

「うゎっ!?」

いきなりオフィスに飛び込んできたのは、体調不良を理由に休んでいた栞だった。

「修っビッグニュースだってば!!」

興奮状態の栞は僕に詰め寄る。

おかげで僕はデスクに腰をぶつけてしまった。

「わっ判ったから栞、落ち着いて」

栞を僕から離し、反っていた腰を元に戻す。

栞は深呼吸をして僕を見上げた。

「赤ちゃんできた」

その言葉に僕の腰をさすっていた手が止まる。