「可愛いぃー。栞ちゃんの趣味?」

しゃがんで水槽を見ながら聞く。

以前デートをしている所を目撃されてしまったので、事情を話して黙っていてもらっている。

「まぁ。栞が選んだんですけど、僕も気に入ってるんで、僕の趣味でもありますよ」

栞との事を話す時は自然と顔の筋肉が緩む。

「いい顔してますよ」

立ち上がった相澤美由紀は優しく微笑む。

「顔・・・ですか?」

無意識に頬を触る。

「幸せそうな顔してますよ」

僕は何と言い返していいか判らず、曖昧な笑みを浮かべた。

「ところで相澤さんは僕のオフィスに用があったんじゃないんですか?」

「あっ!!そうだった」

相澤美由紀は手を叩いて苦笑いをした。

「水槽を掃除しようと思って来たんですけど、餌も入れたばっかみたいだから、またあとでにします」

「相澤さんが水槽を!?いつもありがとうございます」

僕は頭を下げる。

「私が勝手にしてるだけなんで大丈夫ですよ」

栞とは違う、大人の微笑み。

なんだか安心する。

もう一度、頭を下げ礼を言ってからオフィスを出た。

小山るうを僕の作品に変えるのは、予定通り明日にしよう。