人こそ芸術 part1


車で40分の所に、いつも行く熱帯魚ショップは在る。

栞は小さな水槽が並ぶ通路を右へ左へ行ったり来たり。

そんな栞と一緒に水槽を見るのは疲れてしまうので、僕は餌コーナーの棚を見ていた。

「修、これがイイ!」

魚を見ながら水槽の前で手招きをする。

僕がここに居なかったら、変な人だ。

「どれ?」

手にしていた餌を棚に戻し、栞の言う熱帯魚の名前を見る。

『ホワイトミッキーマウスプレティ』

初めて見る名前だ。

今度は水槽の中を泳ぐ熱帯魚を見る。

「可愛いなぁ」

その熱帯魚を見て、どうして名前に“ミッキーマウス”と入っているのか解った。

尾ひれの所に黒いミッキーマウスの様な模様が入っていたからだ。

「見た目も名前も可愛いから、このコがいい!」

このコだなんて愛着が湧くのが早い。

「いいよ」

僕も気に入ったので購入する事にした。

「これだけでいいの?」

喜ぶ栞は既に違う水槽を見に、隣には居なかった。

これじゃぁ僕が変な人だ。