眠りについたのは明け方で、起きたには12時20分。

流石に反省する。

「栞・・・大丈夫?」

洗面所に居る栞にリビングから声をかける。

「何が?」

ブラシを握ったまま洗面所から顔を覗かせる。

「な、何がって・・・腰とか・・・」

栞を直視出来ず視線はフローリングの床をさまよう。

「今は大丈夫だよ」

栞は僕をからかう様に笑い、洗面所に戻って行った。

「今はって事はやっぱり・・・。ごめんね?」

僕も洗面所に向かい、鏡越しに栞を見る。

栞は髪をいつものポニーテールに結っていた。

振り返り真顔で僕の目を見つめる。

「何で悲しい顔するの?私は大丈夫だから。心配しなくて平気だよ」

子供をあやす様な口調で、優しい笑顔を見せる。

「・・・なら良かった」

無理をしている様には見えないので、とりあえず一安心。

「じゃぁ行こうか」

「化粧しないの?」

栞は髪を結っただけで、化粧をしていなかった。

「サングラス掛けるから平気。それにスッピンでも綺麗でしょ?」

「綺麗だよ」

栞は冗談のつもりで言ったのかもしれないが、僕は本気で綺麗だと思う。

「えへへ」

栞は照れた様に笑った。