「そろそろ仕事に戻らないと怒られるぞ?」

僕は水槽の前から動こうとしない栞に含み笑いで言う。

「・・・はーい」

不満そうに頬を膨らます。

「フグみたいになってるよ」

僕が言うと頬は元の形に戻った。

「じゃぁ行ってきまーす」

栞は背伸びをして僕と唇を合わせる。

そして僕に背を向け、オフィスを出て行った。

僕も仕事だ。

もう直ぐで本日第一回目の手術の時間になる。

そろそろ準備を始めるとするか。