人こそ芸術 part1


驚く僕を見て栞はクスクスと笑った。

「美味しくなるんだよ」

そう言って栞はオレンジジュースをフライパンに回し入れた。

「あ、へぇ・・・」

料理に関しては、まだまだ勉強が足りないようだ。

「パスタどう?」

沸騰する海で舞い踊るパスタを捕まえて口に入れる。

「上出来!」

親指を立てグーサインを出す。

「じゃぁここに入れて」

指示通りパスタをフライパンの中に入れる。

栞は手際良くトマトソースを絡めると火を消した。

皿に盛ったトマトソースパスタの上に、切った生トマトを乗せる。

「完成でーす」

二人声を揃える。

テーブルに運び、向かい合って座る。

夕食のお供は白ワイン。

「乾杯」

ワイングラスが触れる高い音が静かな部屋に響く。

「あ~うめぇ」

栞の手料理は美味しく、オレンジジュースの甘酸っぱさが新感覚だった。

「また二人で作ろうね」

「茹でるなら任せろっ」

パスタをねじる仕草をしながら、ちょっと偉そうに言ってみる。

そんな僕を見て栞は笑った。