午後になり、林田真矢の検査が行われた。

薬物治療を行ってから既に4日が経っている。

もう息苦しさや息切れなどの症状が和らいでもいい頃なのだが、全くと言っていい程効果が得られない。

思っていたより進行が進んでいたのか、薬物治療では進行を止めることが出来なかったようだ。

「助かる方法はまだありますよね?」

検査を終えベッドで横になっている林田真矢は、僕の白衣の袖を掴みながら言った。

「はい。僕が必ず林田さんを助けます」

林田真矢の目をしっかり見て言う。



この日の夜、会議が開かれた。

検査の結果、予想以上に進行が早い為、急遽明日、手術を行う事になった。

手術方法は硬くなってしまった心臓の筋肉を除去する手術。

今回の介助医も櫻井舞。

少し気まずい。

だが仕事だ。

仕方ない。

答えは既に決まっている。

勿論『NO』だ。

ただその答えはこの先の事を含め、僕にとって意味のある選択になるのだろうか。

その答えをいつ伝えるべきか悩む。