「具合はどうですか?」

よく冷えたコップ一杯のミネラルウォーターを飲み干し、少し落ち着いた小山るうに聞く。

「なんとか・・・。目黒先生、お恥ずかしいところを見せてしまってすみません」

あまりろれつが回らない小山るうは頭を下げた。

「意外でしたね、小山さんが・・・」

僕は苦笑いをした。

「目黒先生?・・・面白い部屋ですね」

酔っている小山るうには僕の声は聞こえなかったのだろうか。

小山るうは焦点が定まらない状態で部屋を見回した。

今、僕等が居るのは地下室にある硝子張りの部屋。

「それより、あんなに酔いつぶれちゃうのはいつもなんですか?」

僕はあえて部屋の話には触れなかった。

「初めて行ったバーだったんですけど・・・。つい調子に乗っちゃって」

小山るうは片手で口元を押さえ大きなアクビを一つ。

「今夜は泊まっていって下さい」

「迷惑じゃ・・・」

「小山さんをご自宅に送る方が大変ですから」

「じゃぁ、一晩だけお願いします」

まだ酔いの醒めない小山るうを硝子張りの部屋に残し、僕は地上に上がった。