人こそ芸術 part1


彼女は死んだだろうか。

1時間が経ったので地下室へ降りる。

大橋美鈴は硝子の向こうで、うつ伏せに倒れていた。

部屋に入る。

大橋美鈴はピクリとも動かない。

脈を測る。

…浴室に運ぼう。

地抜きをしたら次の作業に取り掛かる。

それまで2時間、途中だった小説を読もう。

小説の中の男は新しいコレクションを拉致するべく、ターゲットの住む家の前で車に乗って様子を窺っているところ。

ただターゲットが出てくるのをじっと待っているだけ。

僕も2時間をただ待っているだけ。

0時を過ぎた。

帰宅してから何も口にしていないが、今は興奮していて喉さえ渇かない。