鉄板の様な手術台に森岡静菜を乗せると、僕は次の作業に取り掛かった。

メスで左わき腹を10㎝ほど切る。

これからの作業の為にニ時間前の血抜きは必要不可欠だったのだ。

次にこの切り口に手を入れる。

最初に小腸、次に胃、肝臓、脾臓、腹膜、肺の順番に内臓たちを取り出していく。

心臓にさえ気をつければ大変な作業ではない。

僕が行っている作業はミイラの作り方と一緒である。

古代エジプトでは『死後もその魂が永遠に生き続けるように』そんな願いと、死者への敬意を込め、永遠を願って作られたのが古代エジプトのミイラだそう。

僕の場合は『永遠の美しい肉体』そんな願い。

ミイラを作るならこの後、遺体と内臓の乾燥処理、変形した部分の整形、梱包の順で70日で完成させなければならない。

でも本物のミイラを作ってしまっては意味が無い。

僕が真似をするのは内蔵を取り出すまで。