素直になれなくて




「おっと・・・彼氏のお出ましだ」

「汗かいた姿もステキ」


腕を引っ張ったのは、稀田だった。

稀田くん!?

「夏美ちゃんに、何の用?」

「遼平の居場所を聞きたかっただけ。わからないならいいや。行こーぜ」


「またね、イケメンの良平くん!」


騒がしく、去って行った。



「あ、ごめん。腕痛くなかった?」

パッときだが手を離した。

「大丈夫・・・」

驚いたけどー・・・

「また絡まれてるのかと思ったんだけど・・・余計なお世話だったかな?」


「ううん!・・・ありがとう」

遼平くんがどこにいるかなんて、私にはわからない。


「稀田くんかまさか運動会に出てるなんて・・・びっくりしたよ。地区は違うけどね」

「昨日、急に頼まれて・・・俺ん家、俺が高校入学する直前に引っ越してきたから。まだ、あんまり馴染んでないけど」

馴染んでない?

「いやいや・・・さっき、あんなに囲まれてたじゃん」

「あー・・・ははは」

稀田は苦笑いをした。

「夏美ちゃんは、何か競技出るの?」

「うん、リレー・・・」

「そうなの?俺も出るよ」

「本当に!?」

「地区が違うから敵同士になっちゃうけどね」

「あ、そっか・・・」

「確かリレーはプログラムの一番最後だったよね?それまで、一緒にいようよ」

「え!?でも・・・」

なんかさっきから、視線が痛い気がー・・・

「俺走ったから喉乾いちゃった。校舎のなかで売店やってるんだよね?買いに行こ」

ドクン。

稀田に左手をつかまれ、校舎へ向かう。

手がー・・・


「・・・」


それよりも、さっきよりも視線が痛い。