素直になれなくて




リレーの時間までボーッと競技が行われているグランドを見ていると、ひときわ目立っている人物がいた。

地域の運動会とは思えないピンク色の歓声までも聞こえてくる。


「きゃー!!ちょっと誰あの男の子!?」

「こっちに走ってくるわよ!?」


その人物は100メートル走に出ており、私が今いる目の前がゴール地点。

「・・・え?」


近付くにつれて、顔がだんだんとハッキリ見えてきた。

「あんな子、同級生にいた!?」
「超イケメンなんだけど!!」


き・・・




きだくん!?

驚いている間に、きだは余裕の1位でゴールしていた。



ゴールした瞬間のピンク色の歓声と同時に、タオルを持った女性たちが走り出す。


すごい・・・


学校で見慣れてるけど、今日はそれ以上にスゴい。

あんなおばさんまでー・・・



呆気にとられていると、どんっと誰かにぶつかってしまった。

「あ、すいませ・・・」

「あー、どっかで見たことある顔」

「え?」

「思い出した!駅の子だ!」

あ・・・

ぶつかってしまった相手は、いつも駅で遼平くんと一緒にいる人たち。

そして、遼平くんの彼女もー・・・


「彼氏囲まれてるけどいいの?」

良平くんを指差して、一人の男の子が言った。

「か・・・彼氏じゃないです!」

「ね、遼平知らない?イケメンじゃない方の」

「おい、怒られるぞ」

「だってこの子の彼氏と同じ名前なんだもん」

「いや・・・彼氏じゃ・・・」

「あなた遼平と同級生だったよね?だったら、小学校の中で遼平がいそうな場所って知らない?」

「え・・・」

「小学校にいるってことだけは、わかってるんだけどね。こんだけ広いと、どこにいるのかわからなくて。携帯も出ないし」

遼平くんが居そうな場所ー・・・



「・・・夏美ちゃん!」



グイッと腕を後ろに引かれた。