素直になれなくて







「!」


懐かしい声で久しぶりに呼ばれた名前に、ピタッと足が止まった。


稀田は気付いていないのか、先に保健室から出て行った。



ゆっくりと、声がした方に顔を向けた。



「・・・俺はー・・・」


・・・遼平くん?

さっきと雰囲気が違う、遼平。

何ー・・・?



[ピンポンパンポーン・・・リレーに参加する選手は、至急入場ゲートまでお越しください。繰り返します・・・]


「あー!!遼平いたぁぁ!!」

ビク!


窓から大きな声が聞こえた。


「こんなとこで何してんの?探したんだよ」

声の主は、遼平の彼女。

「って・・・あれ?イケメンの良平くんの彼女さん?」

「いや、彼女じゃ・・・」

「夏美ちゃん!」

夏美がいないことにやっと気づいたのか、稀田が戻ってきた。



「いないからビックリしたよ」

「ごめ・・・」

「いやーん、優しい!!うらやましい!!」

え?

いつの間にか、遼平の彼女までもが保健室に入ってきていた。


「遼平、私にもあれぐらい優しくしてよ!!」

「は?」

遼平の腕にしがみつき、身体を揺さぶっている。

「顔じゃ負けてんだから、せめて優しさでは勝ってよ!!」

顔じゃ負けてんだから・・・ってー・・・