「そう、自分だけの世界。誰にも邪魔されない。あたしだけの場所」 雅は目を開けると、俺を見て微笑んだ。 「ねぇ、柚流くん。人ってね、自分が自分でいられる場所があれば1人でも生けていけるの」 雅は手すりから手を話すと、また空を見上げた。 「手を伸ばせば、届きそうなのに空は遠いね。ねぇ、柚流くん?」 雅は俺を見た。 「ん?」 「あたしも、空になりたい」