「お前は?」

「は、はぁ?」
少女は困っている。

東門に着たのはいいけど道がわからないから迷っていたらまたナルシストと鉢合わせするまでは別に構わなかった。

だが、道を聞こうとしたら急に私は薔薇の花が好きなのだがお前は?と少女の話しを訊いてくれなかった。

「私は……」
少女は言葉に詰まる。
花の名前が思い出せないのだ。

「野に咲く花Aが好きです。」

少女は花の名をチューリップと知らない。
思い出す以前の問題だ。

「わかったよ。」

ナルシストは一体どんな花を想像したのかもまた謎のままである。

結局少女は棒が倒れた方に進み東門に辿り着いたのだった。