有り難いことだ。 こんな身よりもない僕に、こんなに優しくしてくれるなんて、どこを探してもあまり見つからないだろう。 そう思うと、心の奥がほんのりと温かくなった。 「ありがとう。大事に食べるよ」 僕はその言葉を残して、翔さんの店を後にした。 ー…… “いつもの場所”に戻ると、翔さんに貰った黄土色の袋を箱の中にしまった。 いつもの場所とは、いつも僕が生活している建物の路地裏の一角のこと。