「じゃ…遥。
征を…よろしくな」


そう言って歩き始めた凌の背中を目で追うことなく、あたしは病院に足を踏み入れた。




だって
あたし


凌の頼み…きかないわけには、いかないから。



だって
あたしにとっての凌は…

大事な大事な“おさななじみ”で。





小さな頃から
ずっとずっと見続けてきた…


『あたしも…。
凌のこと“すっごく好き”だった』


大切な大切な…


――“初恋の人”――なんだから。