ブラウスを着て

「そうそう、のんびり話してる時間なんてないの。


あなた、もうすぐ5時になっちゃうわ」





「ああ、もう時間だな。



美桜、俺たちはこれから小さな町で暮らす。

お前はこの人のところにお世話になることになってるから」


お父さんは、そう言って、私に4つ折にしたメモを渡した。





へっ……!?


いやいやいや、




「なんであたしも連れてってくれないわけ!?」



「しょうがないでしょ、美桜を養うお金なんてないんだから。


あんたもう17歳だからちゃんとできるわよ。



その人、美桜も知ってる人だから、心配しなくても大丈夫よ。



――じゃっ、美桜、また会えたらね!」




「美桜――、がんばれよ」



お母さんはお父さんの腕に手を回し、2人はあっという間にマンションのエレベーターに消えていってしまった。