気がつけばいつの間にか眠っていた。キッチンの4人がけのテーブルに独りで座って眠っていた。

 何時からわたしは独りで揃わない家族を待つようになったのだろう。時計の針は2時を過ぎようとしていた。

 普通の家庭が夢だった。毎日晩ご飯を食卓で囲み普通にその日あったことを会話しながら、笑いあえる家庭…そんな些細な夢だった。

 けれど現実は仕事と称して帰らない旦那…年を重ねるたびに反抗心が強くなる娘…学校でいじめにあって登校拒否からひきこもりになった息子。

 どれもわたしが描いてものから遠くかけ離れていた。それでも希望はあると信じてすごしていた。

 けれど現実にはそんな事はなかった。

 2時半を過ぎた頃ようやく玄関の扉があいた。

「おい、今帰ったぞ」

 わたしは黙って玄関へと向かう。