新幹線を下りてから発車するまでの間、


裕司くんはホームから車内の私にずっと手を振り続けてくれた。


私が座っている席は、進行方向左側の3列シート。


裕司くんは、下り立ったホーム側、つまり、通路を挟んだ右側の2列シートの窓から手を振っていた。


2人シートに座る人を飛び越えて。


私に向かって、大きく大きく手を振っている。


こちらが恥ずかしくなるほどに。


私も、思わず、手を振り返していた。――それに応えるように。


恐らく、端から見たら恋人同士のように見えただろう。