そんなやりとりをしているうちに、新幹線は、新大阪駅へと滑り込んだ。 



「今日はありがとう。すごく楽しかった!」


真っすぐな目で見つめられたから、恥ずかしくなって目を逸らしそうになった。

ドクン……ドクン……


心臓が物凄い速さで音を立てた。


「こっちこそ、楽しい時間をありがとうね」


口元を緩めた裕司くんは、柔和な顔で頷くと、再び車窓に目を向けた。


「着いちゃったね」


「うん」


棚に上げてあった大きなボストンバックに手を伸ばした裕司くんは、「そろそろ行くね」とだけ言った。