「……あっ、思い出した!私、来週、出張で茗荷谷に行くんだ。もし時間があったらどう?会えないかな?」


「いいですよ!こっちに来るとき、連絡下さい!」 


と、カバンからシステム手帳を取り出した裕司くんは、慣れた手つきでメモ用紙を私に差し出した。 


その紙に、名前と携帯番号だけ走り書きして、彼に渡した。


「ありがとうございます。めぐみさん、綺麗な字ですね」


「えっ、そんなことないよ!それより、裕司くんのアドレスと電話番号を教えて!」


照れ隠しもあり、早口になりながら彼に尋ねた。


裕司くんは口頭で教えてくれたから、私は慌てて携帯電話の住所録にアドレスを入力した。