「そう。じゃあ、この洗濯物を干したら先に出掛けるから、戸締まりだけよろしくね」


「了解!」


水色の洗濯カゴを両手で抱えた母は、台所から庭へと通じる茶色いドアの向こうに消えた。 


それを目で追いながら、もう一度、飲みかけのカフェオレに手を伸ばし、そばにあったパンを口にした。 

ガリッ…


焼いてから、だいぶ時間が経ったのだろう。


パンは、すでに乾燥しており、少し堅かった。