しばらく、沈黙が流れたが、ついに、私は部屋番号を彼に告げた。 



「3535だよ。」



「分かった」



 ……………………………


それから間もなく、コンコンと、ドアを叩く音がした。 



彼は、敢えてチャイムを鳴らさずに、ドアをノックした。



胸がドキドキして止まらない。 



大きく息を吐き、ゆっくりとドアノブに手をかけた。


ガチャッと金属音を立て、そのままドアを内側に引いた――。