それは同時に、裕司くんへの気持ちを“遮断”するための契機となった。 


もし仮に……


『帰国するまで待っていてほしい』


と言われていたら、私の心は再び、裕司くんに傾いたはずだ。 


でも……


彼の口からは、そんなこと一切聞くことはできなかった。 



百歩譲ったとして……


『帰国したらまた会おう』

と言われたとしても、きっと私たちは、恋人や結婚にまでは至らないだろう。 

学生の彼には荷が重すぎる、あまりにも現実味のない話だから。