家へ帰ってからは、自分の中で葛藤が芽生え、なんにも手に付かなかった。  

あんなこと言わなきゃよかったんじゃないかとか、もう少し話したかったな、とか矛盾してばかり。 


ダイニングテーブルに並べられた夕飯のおかず。


何を食べても、味も何も感じなかった。


ただ、口に運んでいるだけだった。


「なんだ、珍しいな。食欲がないのか?」


父に話し掛けられたが、気の利いた返事すらできなかった。


「ダイエットでもしてるんじゃないわよね?」


「…まさか!昼間、食べ過ぎたからあんまり食欲がないだけ」


「そう?若い子たちはちっとも太っていなくても痩せようとするけど、めぐみも無理に痩せようなんて思わなくていいからね」


「あはは…私が本気でダイエットすると思う?するわけないじゃん。食べることが大好きなのに」


「なら、いいけど」


「今日は出掛けてたら疲れたわ。部屋でゆっくりするね。ご馳走様」


立ち上がり、リビングのドアを開けた。