伸也さんに勘付かれないよう、飲み物を買う口実で、少し離れたところで、受話器を耳にした。 


「…はい、もしもし」


「もしもし、めぐみさん?裕司です。お久しぶりです。今、話せますか?」



どうしてだろう……。


この人の声を聞くだけで、熱いものが込み上げてくる。 

懐かしさと愛しさで、胸がいっぱいになる。 



止まらない胸の鼓動――…。