そんな穏やかな日々に包まれた私は、仕事の忙しさもあり、裕司くんのことを極力、考えないようにしていた。


――というより、


忘れていることの方が多くなっていた。



なぜなら……


あの帰国以来、電話はもちろん、メールさえ来ることはなかったから。 


敢えて、私からも連絡は取ろうとはしなかった。


伸也さんと付き合いだしたし、裕司くんへの気持ちは“封印”しようと心に誓ったからだ。