「うわぁー、すごい!いっぱいいるね!」


「ねぇ、手を広げて!」


「えっ?……キャッ」


しゃがんだ私の手のひらに、大越くんが一匹の蟹を載せたから驚いて蟹を手で払いのけ、逃がしてしまった。


「もしかして、初めて?」

コクンと頷くと、大越くんは一瞬驚いたような顔をした。


でも、さらに悪戯心が芽生えたのか、今度は目の前に蟹を突き出した。


「もう!ビックリするじゃん!」 


二人で戯れあっているうちに太陽は西へ傾き、空がだんだんとオレンジ色へと変化し始めた。 


太陽に照らされた海面は、キラキラと宝石のように輝いていた。