裕司くんからの誘いなら、即、応じるつもりだった。 


でも……


裕司くんは、あまりにもあっさりとしていた。 



「じゃあ、僕、そろそろ帰るね」


「…そっか」


もう帰っちゃうんだね。


もう少し、一緒にいられると思ってたのに。


「じゃ、またね」


「うん、またね」



次の約束もないまま、別れの時間を迎えた。



裕司くんは、ホテル前からシャトルバスに乗り込み、成田駅へと向かった。



座席に座った裕司くんが、私に手を振っている。同じように、手を振り返す。



バスが見えなくなるまで、ずっと目で追った――。



一人取り残された私には、バスのテールランプが、ひどく寂しげに映った。