バス停に到着し、手元の時計と時刻表を確認すると、まだ5分ほど余裕があった。


一旦、荷物を地面に置き、流れる汗をハンドタオルで拭うと、ファンデーションがしっかりとこびり付いていた。


参ったなぁ。さっき化粧したばかりなのに……。


ベンチでは、メガネを掛けた中年のおじさんが一人、タバコを吸いながらバスを待っていた。


ちょこんと頭を下げ、その人の隣に腰を下ろすと、すぐに手鏡を覗き込んだ。



…まっ、いっか!新幹線に乗る前に化粧直しすれば。


――と、遠くからバスがやってくるのが見えた。


プシューとドアが開き、おじさんに続いてバスに乗り込んだ。


すぐに降りられるようにと、運転手さんのすぐ後ろに座った。