「ここだよ」


と、彼に案内された先は、白壁の二階建のコーポだった。  


10戸から成るその建物は、一戸建に囲まれているものの、南側に面しており、日当たりのよさそうな物件だった。


「僕の部屋は二階だから」

と言う彼に続いて、コンクリートの階段を上がった。

階段を上がって、すぐ正面の端の部屋が、彼の部屋だった。 


『206』とプレートが差し込んである。


玄関のドアに鍵を差し込んでいる間、通路から辺りを見渡すと、


夕陽に照らされた文京シビックセンターや東京ドームが顔を覗かせていた。