「本当に?じゃ、もし気分が悪くなったらすぐに言ってね」


「分かった」


今度は、気を取り直して、ジェットコースターやメリーゴーランドへ。 


さっきのが、嘘のように平気だった。

 
女の子なら可愛らしく、キャーなんて言うんだろうけど、逆に恥ずかしくて声も出なかった。


ちょっと可愛げがないかな、なんて思ったけど、いい歳して黄色い声を出すのは抵抗があった。


でも、裕司くんったらちょっぴり意地悪で、ジェットコースターに乗りながら耳元で囁くんだよ。


「めぐみさん、可愛いよ」

「もっと僕にくっついて」

「キスしたいな」



囁かれた左耳が熱を帯びたように熱くて、本当にキスでもされたような感じだった。


恥ずかしくて、裕司くんの顔を見ることができなかった。


「ねぇ、こっち向いて!」

そう何度も囁くけれど、恥ずかしさのあまり、前列に座る人の背中を目で追ったままだった。