あれから、雲の流れを無意識に追うことが多くなっていた。 


面白い形の雲を見つけると、すぐさま携帯を空に向け、写真を撮る日々。 


『何、してるの?』


いつだったか、生徒に尋ねられたことがあった。



二度と出会わない雲のような気がして……。 


記憶に留めておきたい、そんな願いから私は撮り続けた。


もしかしたら……裕司くんに見せることがあるかもしれない。


そうして撮り続けた雲の写真は、携帯のフォルダの容量がいっぱいになるほどだった。


そして、今日も、この空に向けて携帯を差し出した。