――裕司くんは、本当に5分位ですぐにやってきた。

いつもの自転車に跨って。 


うっすらと額に汗が滲んでいる。慌てて、家を飛び出して来たのだろう。



「急に呼び出したりしてごめん」


「いいよ、そんなの。それより、駅は騒がしいから少し静かなところへ行こう」


小さく頷くと、自転車を片手で押した裕司くんと、西口方面に向かって歩を進めた。 


二人で向かった先は、後楽園のシンボル・東京ドーム。


ちょうど、巨人対ヤクルトの試合が行われていた。



試合が終わったのか、メガホンやタオルを首に巻いた人たちと多数擦れ違った。


彼らと入れ替わるように、ドームに面した木製のベンチに二人並んで腰を下ろした。