しばらく、無言で歩いた。


ホテルの裏手へ回り、人がいないことを確認した。



そこは、業者や従業員の出入口と見られた。



明かりが少しだけ照らされている。 



ホテルの裏側は、私大のキャンパスになっており、深夜ということもあり、人気(ひとけ)がなかった。



通りを一本隔てた向こう側には靖国通りが広がるが、しんと静まり返っていた。


空を見上げると、無数の星が散りばめられていた。



まるで、私たち二人だけを、照らすかのように……。