「もう少し、めぐみさんと一緒にいたい」



囁くような声で、彼が言った。


その声に胸が震えるような感覚を覚えた。



「…うん」



消え入りそうな声で私も答えた。   
 


抱き締めていた腕を緩め、私の肩に両手を置いた裕司くんは、ゆっくりと言葉を吐き出した。



「ここはホテルの正面玄関だから人目につくし、少し歩かない?」



コクンと頷くと、肩を抱かれながら二人で歩き出した――…。