信号待ちの時間が、ひどく長く感じられた。



時折、吹く夜風が、お酒で火照った身体や頭を冷やしてくれた。



靖国通りを西へ行く車は、空車のタクシーばかりだった。



スピードを緩め、乗車を促そうとする運転手に首を振った。



信号が青に変わった瞬間、彼と繋いでいた左手が、さっきよりグッと強まった。


「さぁ、行こう!」








ホテルは、もう目の前だ。