話の流れで、核心に迫ってみた。



――が、何か思い詰めた様子で、カクテルを口に含んだまま、裕司くんは押し黙った。



さっきまで心地よかった店内に流れるジャズの音色が、やけに耳障りに感じる。


手持ち無沙汰な私は、目の前にあるカクテルに手を伸ばし、口に含んだ。



たちまち甘酸っぱいカクテルが口の中に広がり、喉に刺激を与えた。








長い沈黙の後、彼はポツリと話しだした。



「うん。僕には、ずっと守っていかなきゃいけない彼女がいるんだ。僕が支えてあげないと彼女はダメだから……」



カクテルを口に運びながらそう話す彼の表情は、重苦しく、ただならぬ雰囲気だった。