「撃てよ。そいつ一人死んだところで、こっちは痛くも痒くもねぇさ。そんなことぐらい、お前だってわかってんだろ?」
その表情からは動揺など微塵も窺えず、木戸が本気で自分の部下を見捨てる気なのだと龍一は悟った。
「だとさ。恨むならあの男を恨めよ。」
「そんな、木戸さん…」
富樫が力なく絶望を口にするや否や、龍一は引き金を絞った。
多恵は反射的に顔をそむけて固く目をつぶる。
が、カチッと虚しい音が響いたのみで、富樫は依然直立したままだった。
「お前… 弾の重さも、もう忘れたか?」
木戸がそう言って嘲笑を浮かべると、龍一は突き出していた右腕を、そろそろと重力に従うように下ろした。
「木戸さん、いつの間に弾抜いたんですかぁ?」
すっかり安堵しきった富樫が、勢いを取り戻して木戸に問う。
「お前に弾入りを持たせる方が危険だと判断したまでだ。正解だったろ?」
悪戯っぽく笑う木戸に、富樫はもうそれ以上、苦情を申し立てる気は起こらなかった。
その表情からは動揺など微塵も窺えず、木戸が本気で自分の部下を見捨てる気なのだと龍一は悟った。
「だとさ。恨むならあの男を恨めよ。」
「そんな、木戸さん…」
富樫が力なく絶望を口にするや否や、龍一は引き金を絞った。
多恵は反射的に顔をそむけて固く目をつぶる。
が、カチッと虚しい音が響いたのみで、富樫は依然直立したままだった。
「お前… 弾の重さも、もう忘れたか?」
木戸がそう言って嘲笑を浮かべると、龍一は突き出していた右腕を、そろそろと重力に従うように下ろした。
「木戸さん、いつの間に弾抜いたんですかぁ?」
すっかり安堵しきった富樫が、勢いを取り戻して木戸に問う。
「お前に弾入りを持たせる方が危険だと判断したまでだ。正解だったろ?」
悪戯っぽく笑う木戸に、富樫はもうそれ以上、苦情を申し立てる気は起こらなかった。



