俺の中に瞬時に沸いて出た直感に従い、その箱を手にしてその場にしゃがみ、ひっくり返して中身を床にブチ撒けた。
白い粉が重力に負けてサラサラと円を広げていく。
その中にポッコリと、洗剤とは恐らく別の白い粉が入った透明のビニール袋が姿を現した。
ああ、しまった、俺手袋してねーや… てか、持ってきてもないし。
仕方なく洗濯物の中にあった、ハンドタオルを拝借し、それで包み込むようにしてその袋を手に取った。
「谷口さん、出ました。多分、ヤクだ。鑑識に回します。」
谷口さんの元へと戻った俺は、手にしたそれを谷口さんの目に晒そうと、自分の顔の横まで持ち上げて見せた。
ああ、頼むと言って、乗ってきた公用車のキーを、谷口さんがジーンズのポケットから抜き出しこちらに投げて寄越した。
谷口さんは、彼女が落ち着くまで寄り添ってやるつもりなのだろうか。
踵を返し、部屋の出口へ向かうと、背後から女の痛々しい嗚咽が聞こえて、無意識に俺は振り返った。
その場に崩れ落ちた彼女の背中を優しくさすってやる谷口さんの横顔は、怒っているようにも泣いているようにも見えた。
ほんの一瞬でも、谷口さんに反感を抱いたことを、俺は後悔した。
白い粉が重力に負けてサラサラと円を広げていく。
その中にポッコリと、洗剤とは恐らく別の白い粉が入った透明のビニール袋が姿を現した。
ああ、しまった、俺手袋してねーや… てか、持ってきてもないし。
仕方なく洗濯物の中にあった、ハンドタオルを拝借し、それで包み込むようにしてその袋を手に取った。
「谷口さん、出ました。多分、ヤクだ。鑑識に回します。」
谷口さんの元へと戻った俺は、手にしたそれを谷口さんの目に晒そうと、自分の顔の横まで持ち上げて見せた。
ああ、頼むと言って、乗ってきた公用車のキーを、谷口さんがジーンズのポケットから抜き出しこちらに投げて寄越した。
谷口さんは、彼女が落ち着くまで寄り添ってやるつもりなのだろうか。
踵を返し、部屋の出口へ向かうと、背後から女の痛々しい嗚咽が聞こえて、無意識に俺は振り返った。
その場に崩れ落ちた彼女の背中を優しくさすってやる谷口さんの横顔は、怒っているようにも泣いているようにも見えた。
ほんの一瞬でも、谷口さんに反感を抱いたことを、俺は後悔した。



