ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

「洗濯… 洗濯しなくちゃ。あの人今朝、『俺が戻るまで、絶対に洗濯はするな』ってそう言って… でももう関係ないもの。」


 儚く微笑んで見せ、彼女は力なく呟いた。


「おい、皆人。」


 彼女の為に両手を塞がれ、身動きすらとれない状態の谷口さんが、顎で合図する。


 俺は軽く頷いて、すぐさま洗濯室へと向かった。


 浴室に面したそこには、洗濯機と、その傍らに洗濯カゴ。


 その中にあった未だ洗われていない衣服を、片っ端から手にとって確認する。


 出て来たのは…


 レシート類の紙屑や、ライター。


 期待したような重要証拠となり得るモノなど一つも無かった。


 それでも一応、レシート等にも目を通してみる。


 タバコ、ガム… これといって目ぼしい物は何も記載されていない。


 落胆しながら小さく溜め息を吐き、ふと視線を上げると、洗濯機の上の棚に置かれた洗剤の箱が目についた。