ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

 谷口さんが、心地良さそうに紫煙をたっぷり吐き出した時、谷口さんの背後から無機質な機械音が聞こえてきた。


 めんどくさそうに舌打ちすると、谷口さんはジーンズの尻ポケットを探り、そうして取り出したのはシルバーの携帯電話。


「谷口」


 受話器を耳に当てるなり、谷口さんは無感情な声を吐き出した。


 何だそれ? 言葉足らずにもほどがある。


 でもまぁ、自分の名字をちゃんと言えたことを褒めてやるべきか。


「ああ・・・・・・ はい・・・・・・ じゃぁ。」


 相手に一方的にしゃべらせたらしい谷口さんは、短い言葉だけで応対し、すぐに携帯電話を閉じた。


 そして、無表情だった顔に不適な笑みを浮かべて俺を見た。


 また嫌な予感。


「不明だった指紋の身元が割れた。一課が手一杯だから、俺たちに行けってさ。」


 そして得意気に『それみろ』とも言い足したが、俺はひんやりした気持ちでただ谷口さんを見詰めた。